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2022/01/14 16:45



「精神疾患」高校で深い学び/保健体育教科書の記述 40年ぶり復活/増えるうつ病や不安症、10代でも/「対処法知って偏見解消を」


2022年1月5日(水)付け神戸新聞社会面に、2022年度から高校の保健体育の授業で「精神疾患」が取り上げられ、教科書の記述が約40年ぶりに復活するという取材記事が大きく掲載されました。

2022/01/05付け神戸新聞NEXT

うつ病や不安症などの患者の増加を受け、2022年度から、高校の保健体育の授業で「精神疾患」が取り上げられる。学習指導要領の改定に伴い、教科書の記述が約40年ぶりに復活。10代での発症も多い中、予防や対処法を詳しく学ぶ。兵庫県内の学校現場や支援者からは、偏見解消の期待とともに「生徒がSOSを早く出せるようになれば」との声が上がる。

精神疾患は、五大疾病の一つ。厚生労働省の17年調査では、うつ病など気分障害や統合失調症など「精神及び行動の障害」の患者は約348万人で増加傾向といい、長引くコロナ禍で、心の問題は深刻さを増している。

【五大疾病】

厚生労働省が指定し、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病。かつてはがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病とされたが、うつ病などの患者増を受け、2013年度から精神疾患が加えられた。厚労省の患者調査(17年)では、糖尿病約328万人、がん約178万人に対し、アルツハイマー型認知症なども含めた「精神疾患」は約419万人で最多だった。

「 早く対処し、症状の悪化を防ぐためにも、知識教育は欠かせない」『仕事だいじょうぶの本』著者・北岡祐子さんがコメント


この記事の中で、『仕事だいじょうぶの本』職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK〜の著者で、兵庫県精神保健福祉士協会の北岡祐子会長が、取材を受け、下記のようなコメントを寄せています。

<北岡祐子さんのコメント>
高校での学びに期待を寄せるのは、患者の支援を続ける県精神保健福祉士協会の北岡祐子会長(53)だ。「『病院に行ったのは20代だけど、高校時代から幻聴があった』という人も少なくない。
早く対処し、症状の悪化を防ぐためにも、知識教育は欠かせない」
その上で「授業で教えた後のフォローも大切。生徒から相談を受けたら、先生と家族、学校のカウンセラーらが連携し、生徒を支える体制を整えてほしい」と求める。(2022/01/05付け神戸新聞NEXT)

 全国で使用される大修館書店(東京都)の教科書「現代高等保健体育」で8ページにわたって精神疾患を取り上げる。その内容は?

【およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」】

同新聞の記事によると、

全国で使用される大修館書店(東京都)の教科書「現代高等保健体育」では、8ページにわたって精神疾患を取り上げる。
グラフやイラストとともに「およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」「約75%は24歳までに発病」「15~39歳の最多の死因は自殺」などと記し、うつ病や摂食障害など主な疾患を詳しく説明する。
とあります。

記事の中にある「およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」という数字の高さにはあらためて驚かされますが、数字の根拠は、「厚生労働省みんなのメンタルヘルス」に掲載されています。

【みんなのメンタルヘルス|厚生労働省より】
こころの病気は、誰でもかかりうる病気です
こころの病気で病院に通院や入院をしている人たちは、国内で約420万人にのぼりますが(平成29年)、これは日本人のおよそ30人に1人の割合です。生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるともいわれています。
こころの病気は特別な人がかかるものではなく、誰でもかかる可能性のある病気といえるでしょう。

【「約75%は24歳までに発病」「15~39歳の最多の死因は自殺」】

「約75%は24歳までに発病」「15~39歳の最多の死因は自殺」に関しては、こちらに取材記事が掲載されています。

AERA dot. 2021年3月28日

 子どもの心の病気が増えているのでは? そう感じている人も多いのではないだろうか。 精神疾患の75%は25歳以下で発症するといい、若い世代への教育や啓発が求められている。東邦大学医学部精神神経医学講座教授の水野雅文医師に聞いた。

10代での精神疾患発症の一例をご紹介

「約75%は24歳までに発病」と聞いて、「え?」って驚く方も多いのではないでしょうか。
何となくですが、「精神疾患」というと、仕事で疲れて、うつになって、悪化して……大人の病気だと思い込んでいる人も多いかも知れません。

しかし、公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)監修の「みんなねっとライブラリー」シリーズ(ペンコム・刊)を編集していると、10代での発症が多いことに気付かされます。

先の新聞記事でも北岡祐子さんが、「『病院に行ったのは20代だけど、高校時代から幻聴があった』という人も少なくない。」とコメントしています。

例えば、ペンコムの最新刊『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとうー精神障がいがある人の家族15の軌跡』(青木聖久・著)では、精神障がいのある家族を著者がロングインタビューし、専門家の解説を加えた15家族の実例が紹介されていますが、その第6話、「幼稚園教諭だった私が息子や仲間から勇気をもらい語り始める」では、充実した高校生活を送っていたはずの息子さんが発症したのは、高校生の時とあります。

以下、『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう』より抜粋します。

「いったい、何を怠けているの」

長男の聡さんは学業と学校祭を両立させながら、高校生らしい貴重な体験をしている。そのように岩永さんは思っていました。いや、自身に思いこませたかったのかもしれません。ところが二学期になると、聡さんが三日続けて登校していないと、担任から電話があったのです。それは、真面目な聡さんには考えられない出来事でした。聡さんは次第に学校に行かず、自分の部屋で寝ていることも増えるようになったのです。

「学業が大切な時期に、いったい何を怠けているの」

見かねた岩永さんは、聡さんに対して、初めて叱りました。しかし、聡さんは高校一年の三学期の始業式に学校に行くと、「周囲から自分が見られている」という視線を感じるようになったのです。加えて、食事をする度に、おなかが痛いと不調を訴えるようにもなりました。しかし、どこの病院に行っても原因は分かりませんでした。

そして、高校三年生になった時、初めて「統合失調症」の診断名が告げられました。聡さんが「違和感」を覚えていた原因が、やっと分かったのです。

精神疾患は誰もがなりうるありふれた病気

・学校に行けなくなった
・家では寝ていることが多くなった
・急に学力が落ち始めた
この本で紹介されている実例は、どの家庭にも当てはまる、ごく普通のことです。

本書では、当時高校生だった聡さんや母親の岩永さんが、その後、どのように病と向き合い、乗り越えて行ったのかが具体的に描かれています。
ぜひ、お読み頂ければと思います。


さて、先の神戸新聞記事によると、「教科書では、予防や対処法を詳しく学ぶ」、とあります。
この取り組みは、大きな1歩。
ぜひ、本人および周囲の人たちの偏見が解消され、心の病に悩む人が減ることを願い、ペンコムとしても「みんなねっとライブラリー」シリーズを通じ、精神疾患への社会の理解を深めて行けるようがんばってまいります。
精神疾患は誰もがなりうる病気なのですから。

心を病む人たちが、実際にみんなで考えた気分転換方法、ストレス解消法をご紹介

今回、神戸新聞の記事にコメントを寄せている北岡祐子さんは、『仕事だいじょうぶの本−職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK』の著者です。



就労・生活支援30年の実績をもとに、コミュニケーションで「困った場面」→「対処方法」を実例で具体的に解説した本で、ここで取り上げているコミュニケーションの例は、これまでに就労移行支援事業所でメンバーのみなさんが、困った場面を練習した実例に基づいています。

職場だけでなく、これから就活にチャレンジする大学生・高校生のみなさんにもお役に立てていただける1冊です。

ここでは、『仕事だいじょうぶの本』の中で紹介されている「気分転換方法、ストレス解消法を、みんなで考えました」(P117)をご紹介します。

参考にしていただければ幸いです。